Serviceコンサルティングサービス

企業が目指すべき
「ベストサービスはノーサービス」

お客様からコールセンターにはいる問い合わせや質問、苦情等のコンタクトは、一般的には商品数が多いほど、顧客数が多いほど多くなる。B2CのコールセンターのほうがB2Bのセンターよりコンタクト数が多いことが証左である。しかしながら企業によって対顧客数、対商品数のコンタクト率は異なっている。

問い合わせをしなければならない状況であればお客様はいやいやでもコンタクトすることになる。

期待していたものと違えばお客様は当然コンタクトするが、致命的なことでなくても商品がいつ届くのか、配送日を変更したい、使い方がわからない等の様々な理由でコンタクトは発生する。ただ、多くの場合コンタクトは、webの表記がわかりにくい、情報が明確にとどけられていない企業側の問題によって発生する。

したがって、予約や注文は除いて、コールリーズン(問い合わせの内容)がクレームや疑問などの“お問い合わせ”である場合、呼量(問い合わせ件数)は少なければ少ないほど企業のサービスプロセスが良くできているかあるいは製品やサービスの品質が高いと言える。

このことを「ベストサービスはノーサービス」と言う。
企業がベストな品質を提供できていればノーカスタマーコンタクトであるということだ。企業側の品質、すなわち商品・サービス・サービスプロセスがお客様から見て良ければ問い合わせのコンタクト量は減るはずだという理屈である。

不必要に大規模なコールセンターを運用したい経営者はいない。経営者は極力、最低限のリソースによる最良の顧客対応を願っているはずだ。あらゆる企業活動に対する顧客の反応がコールセンターに集約される限り、コールセンターに入る顧客の声から企業活動の課題を認識し、迅速に問題を解決して不満足要素を解消できてこそコールが少なくなりベストサービスはノーサービスの状態に近づくことができる。

幸いなことに、日本の社員数500名以上の会社の平均的なコールセンターの規模は100席未満だ。多くの企業では10席程度のコールセンターが運用されているのが実態だ。これは日本の企業と商品の品質が良いということにほかならない。

販売する商品やサービスの質が良く、適切なプロセスで提供されている状況であれば、顧客の不満足につながる要素が少なく、小さいコールセンターでも十分賄うことができる。

一方で、日本の顧客はストレスや不満を抱えても、コールセンターに問い合わせをしない「サイレントカスタマー」が多いと言われている。不満や解決策を企業に相談することなく、黙って離反してしまう顧客も少なくない。この事実が、一方で日本の大多数のコールセンターが小規模である一因とも言える。

一般的に日本人顧客のサービス・製品に対する期待値は高い。日常的に買い物をする際にはレジ前で行列に並ぶことはそれほど多くなく、公共交通機関は時刻通りに運行される。“安心安全”が“一般常識”とされる中で生活していると、期待する品質も高くなる道理だ。

その結果、普段、“常識”と捉えている感覚と少しでも異なることが起きたり、約束したことが守られなかったり、当たり前だと感じていることが実現できないと多いにストレスを感じ、不満足感を増幅させてしまう傾向がある。一般的な顧客心理を理解し、過剰に反応する顧客を抑制する施策も用意しておかなければ、規模の小さいセンターを維持することは難しい。課題を「予兆」の段階から捕捉して、抜本的な対策を講じてこそ小さいセンターが維持できるのだ。

また、企業プロセスの中で顧客の利便性が欠けていればコールが増えることにも注目しておく必要がある。それを実現するのが、顧客が間違いのない情報を収集し、安心して商品やサービスを使える環境だ。そのために、WebサイトやMobile対応機能の利便性を高め、いつでもどこからでも顧客は自身でサービスを利用できる仕組みを用意することが重要だ。

※「ベストサービスはノーサービス」の考え方は、amazonのカスタマーサービスを実践する過程で生まれ、それを体系化する作業を経て2008年に米国で発表された。
1998年から2001年までamazon.comの経営メンバーでVP, Global Customer Serviceの要職にあったBill Priceが、2004年創立のLimebridge Allianceメンバーとの共著で刊行したBest Service is No Serviceに詳細が記述されている。
同時期amazon.co.jpのDirector Customer Serviceを務め、その後Limebridgeを共に創立したイー・パートナーズ代表の谷口は、この実践と体系化に貢献している。